山中塗のお椀に、蛤のおつゆ。赤絵南天模様の平鉢にちらし寿司。鮭のカルパッチョにアスパラの緑が春めいた気分を盛り上げてくれます。
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お箸は鯖街道の熊川宿で、酒屋のおばあさんからいただいたものです。若狭から京都へ向かう街道の、小浜から80キロほどの宿場町。そこをでればすぐ京都府にはいり安曇川を越えて朽木、比良山系をぬけて、葛原、花折そして大原に出ます。昔ながらの風情を良く残した街道ですね。由緒ある古刹も多い。若い時分には近江の、特に湖北の辺りが好きでよくあちこち訪ね歩いたものでした。今はきっと変わってしまっているのでしょうね、新しい道もつぎつぎ出来ているようですし。
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茎立や真名にはあらぬ魚干して おるか
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小浜の魚屋さんで、見たこともない、ちょっと不気味なお魚、干してたっけ。
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三月二日の若狭のお水送りに初めて行った時も、昔のことですから、明かりのない真っ暗の野辺の、曲がりくねった道を松明の行列が蛇行して進んでいくのが,火龍のように見えたものでした。今では大きくてまっすぐな道が出来ちゃってますね。
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神宮司のご住職は、ひょっこり訪ねた私にとても丁寧にお茶をたてて、いろいろお話してくださいました。お元気でいらっしゃるかな。そのころは一本歯の下駄で山道登れそうな、美丈夫でいらっしゃいましたが。
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黒椿人魚の肉に言および おるか
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八百比丘尼の実家の在所おしえていただいたなぁ。
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寺々に悔過始まりぬ蕗の薹 おるか
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若狭の雪間の蕗の薹のみずみずしい萌黄色、忘れられません。
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さて、左側の双海老の中皿、使いまわしやすいお皿です。そして紅梅の手付き鉢。菜花の緑が映えます。
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その向こう、赤絵の畦道模様の中皿にサラダ。
そして、群れを成して猫のお雛様方。お皿に入り込む癖のある猫っていますよね。
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ドールハウス雛の日なれば火を入れて おるか
20240303