小さきものたち

  日ごとに春らしくなってくるこの頃、一輪草の芽を探して庭をうろうろしています。残念ながらまだのよう。それでもなにかと地面に顔を出しているものはあります。雑草の芽とわかっていても、小さな芽は可愛くて摘み取れませんね。

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 ものの芽の聞き耳立てて並びけり  おるか

暗い地中から光の中に顔を出して、草の芽たちもワクワクドキドキしているのでしょう。風よ、やさしく吹いてやってくれ。

食卓の上にも小さなもの達を集めてみした。顔が隠れてしまったけど兎箸置き。右となりの散り蓮華にワサビ少々。左隣の蕗の薹豆皿にはオカラとヒジキ。

 その上、花びら形の染付豆皿に菜の花胡麻和え、遊兎四方豆皿に高野豆腐煮物。

右側、垣通しの葉形豆皿に卵焼き。

 その上、色絵唐草の一口は、お吸い物も良し、きゅっとグラッパも小粋かも。

お隣のミモザ・・カップ&ソーサー。ミモザの日もそろそろですね。好きな花なので、花屋さんで必ず買えるようになって、うれしい。

 そして、本当に小さな染付の四方豆皿、煮ものをほんの一口。その上の段右から、

赤絵菊竹碗に、のどぐろのつみれ汁。野菜も石川県の名産、ワサビ菜。しゃきっとした歯ごたえ、ピリッと来る辛み、美味しいです。煮すぎないように、日を止める寸前に入れてすぐ食卓に運びます。のどぐろの濃い旨味と絶妙のマリアージュと自分では思っています。

 椿の汲みだし碗の向う、古九谷風の色絵の丸長皿、浅利とネギの炒め物。

石川県はお魚も野菜も、珍しいものも多く、どれもおいしい。ただ、品種改良のたびに高級品化して、手の届かないものが増えてゆくのには、一抹のわびしさを感じます。

小さなもの達と小さな器でおままごとのようなお昼ごはん。銀河系の片隅で。

 玩具箱底ほの暗し木の芽冷え おるか

庭をいじっていたら、指にとげが刺さりました。小さいものだから、かわいいって決めつけるのに腹でも立てたかな。子供も真剣に悩むし、小さなものだって憤る。わかってるつもりだけど、ついかわいがりたくなっちゃうのよ。

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