残暑のランチ

残暑厳しい中、皆様にはいかがお過ごしでいらっしゃいますか。先日本窯を焚いたときは、ほとんど死ぬかと思いました。ひょっとしてこれを書いている私は実はすでに幽霊なのかも…。さて、多少涼しくなりましたでしょうか。


 芙蓉手の大鉢に氷をたっぷり入れて素麺大盛り。モンスターたちが見守っています。氷がこれだけあると、テーブルの上に冷風が通る感じ。 なでしこのそば猪口に汁もたっぷり。 水玉のそば猪口には、定番メニューの夏野菜とモズクの酢の物。ネギの乗っているのは垣通しという雑草の葉の形の豆皿。雑草と言っても薬効があるんですよ。採っても採っても垣を越えて生えてくる生命力の強さからこの名前があるのだそうです。


そして、角皿の上には卵豆腐とクルミ豆腐。卵豆腐と胡麻豆腐をならべて金銀豆腐と称しますが、さしずめこれは金銅豆腐といったところでしょうか。 染付の皿にウナギ。絶滅危惧種を食べるのはいかがなものかとは一応考えますが、アンギラジャポニカの味には抗しがたいものがございます。左側のお湯呑み群は新しく作ってみた祥瑞手です。おくのキウイのはいっている手付き鉢は地獄天国模様。


 箸置きは「件」箸置きです。件は牛の体に人の顔という姿にに生まれて、予言をするとすぐ死んでしまうという予言獣です。すぐ死んでしまう妖怪というのが、妖しくも哀れです。トロイアの王女のカサンドラも予言はすべて本当だったのに悲惨な運命でした。予言というのは悲劇的なものなのかもしれません。


件もこの世に目覚めて予言をするより眠っている方が幸せだろうとおもいますので、眠る件の箸置きです。


何となく怪獣の多めな残暑の食卓でした。

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