
サンドイッチを持って外に行こうかと思ったけれど、どうも雲が出て来たので、部屋の中でおとなしく食べることにしました。
庭の芍薬をテーブルに飾りましょう。器は薔薇尽くしです。
手前の取り皿は色絵染付の薔薇模様。右側のカップ&ソーサーは蔓薔薇。
中ほどのひし形のお皿も染付の多めな蔓薔薇模様。
左側のサラダのお皿も薔薇。中央の大皿も薔薇、薔薇、薔薇。
庭にある薔薇は昔ながらの浪花薔薇や野ばら等ですが、絵に描くときはヴォリュームのある方が描きやすいですね。
そして、剣咲が薔薇らしくて好き。青いバラは昔は不可能なものの代名詞でしたが、今では手に入るようになりました。
こうなったら、漆黒の薔薇も、見てみたい気がします。
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古九谷の皿には、濃紺の牡丹が描かれていますが、青い牡丹もいつか作り出されるでしょうか。楽しみなような、なぜかちょっと怖いような。
本当に美しいものには、どこか怖いような慄きがあります。薔薇は棘があってこそ薔薇です。
金子光春の詩集「老薔薇園」のなかの「老薔薇園」の冒頭、
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「うす絹の肌着はよごれ易い」
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良い始まりですね。でもその後の肌着類の表記が何ともレトロ。そして
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「ポンパヅールの時代、マリーアントワネットの時代,その頃らしい香りを嗅ぐと、たちまち、その汚れ物の山は、病的、抹消的、虚無的なものに見えて来て、そのうへにさす秋の光さへも.いたみ,悲しみ、いたいたしくひっつって。声もたてず互ひにひっそりとしづまりかへってゐるやうにおもへる。
肌着とみえたものはじつは、薔薇だ。老いた薔薇の園である。」
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長々と引用してしまったけれど、歴史的仮名遣いが良い味ですね。そう、薔薇は老いて、また美しい。と、いうか、味わい深い。
五月の緑金の光の中の薔薇はまぶしいほどですが、梅雨のほの暗い黒南風の中の薔薇も又良い。
クリムトの庭の、残んの薔薇の立ち姿を見てからというもの、私にとって、薔薇は、老いてこそ面白い花になりました。そう、あの薔薇も、うす絹の肌着色でした。
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アダージェット弾き終えるまに薔薇老いて おるか
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202506