月を待つ

雨ばかりでここのところ月を眺められませんが、恋しいものですね。お月さま。

俳句で月と言えば、秋の月,待つ宵、十五夜、十六夜、立待、居待、寝待、更待、とそれぞれの月にそれぞれの風情があります。

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この辺りでは、ちょうど中秋の名月のころには芒がまだ穂に出ていないので、山から採ってこようとすると探さねばなりません。

:ともあれ、月に芒や里芋をお供えする習俗はどうも南方系のようですね。台湾とかもっと南ですと、サトイモではなくタロイモのようですけど。

南の島々でお芋は重要な食糧ですから、収穫祈念のお祭りだったのだろうと納得できます。芒は、悪霊を避けると古代では考えられていたようです。畦に挿したりするのも大切な収穫を守るためなのかもしれません。万葉集には、天の野原の芒を刈る、という歌があります。天国の野は芒が生えてたのか、と思うと、何となく不思議。

だから、芒をすぐごみ箱に捨てちゃいけないのですね。家に持って帰って、庭の隅に挿しましょう。悪霊をお家に持って帰らないようにね。 

さて写真の中央に、染付秋の七草文様大皿。秋の七草は万葉集の山上憶良の有名な歌に「萩の花 尾花葛花 なでしこの花女郎花また藤袴朝顔の花」と歌われてしたしまれてきたものですね。万葉集に詠われた花や事柄には中国に起源をもつものが多いけれど、秋の七草に関しては各当のものが見当たらないとか。

その右手前の角皿は鴨の絵です。月に雁はつきものですから、鴨もまあにたようなものかな、と。

左側手前の豆角皿は兎さんです。薬味を入れてます。右上の染付のお皿に御団子代わりにモツァレラ・チーズ。そのとなり、菊花文様の片口に里芋煮転がし。

木の葉形大皿に安売りだった葡萄。まんなかのとてもきれいな淡いバラ色のワインは、イタリア、バジリカータ州のピッポリのロゼです。アリア二コという品種のブドウ。ともあれ、中秋の名月の夜までは開けるのまとうかな。

井の底に硯養う良夜かな  おるか

硯は時々水底に沈めて休憩してもらわないといけないそうです。井戸の底で休む硯も名月を仰ぎ見られたらきっと元気が出ることでしょう。

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